研究室に配属を希望する学部3年生の皆さんへ

 ここでは、研究室配属時に参考となる情報を提供していきます。

ご挨拶兼メッセージ

 皆さん、C1研究室のホームページを閲覧してくれて有り難うございます。私達は、教員スタッフおよび学生個々に高い志を持ち、誰も知り得ないような生体膜の未知の世界を探究し、その成果を世界に向けて公表すべく日々研究に取り組んでいます。皆さんが研究室に配属され、研究室メンバーの一員となれば、学部生の生活は一変しますが、人生の中でこのような経験をするのは、ある意味貴重なことです。研究活動を通して自分自身に自信をつけ、何事もやり抜くことができる根気強さを身につけて欲しいと思っています。また、研究室の生活は、専門知識の蓄積に加え、責任感や協調性を身につける人間形成の場でもあることから、自立した社会人となるための訓練にもなります。私達と共に、お互いに切磋琢磨し、世界初となる研究成果をここ徳島から全世界に向けて一緒に発信していきましょう。文尾に京都大徳寺大仙院閑栖 尾関宗園和尚のお言葉を付けておきます。(私も説法を拝聴しました)

「今ここで頑張らずにいつ頑張る 」 (出典:今こそ出発点)

 以下に当研究室の特色を記載します。

(1)生物物理化学の研究室であること
 私達は生体分子(主に生体膜構成成分である脂質)の示す様々な特徴や性質を主に生物物理学的なアプローチで解明しようとしています。研究の専門分野としては、一般的に「生物物理学」が名称として通っていますので、日常はそれを使用しています。「生物物理」と言うと生物の次に物理が入っているので、複雑な数式や難解な理論が立ちはだかると言った先入観がありますが、私達の専門を正確に言うと「生物物理化学」であり、その基盤は「物理」ではなく、「化学」です。生体分子の構造変化や反応機構を実験データに基づいて考える「化学」の研究室なのです。事実、私は理学部化学科の出身ですし、スタッフの所属する学会の基本は日本化学会です。ですから、高校時代に物理を履修していない方でも全く問題はありません。配属されてから教員スタッフや大学院生の指導を受けた後に、勉強しても十分間に合います。また、実験の解析で使用するのは、講義中で学習した基本の関係式で複雑な数式などは使用しません。私自身、学部生時代、研究室に配属されてから、物理も含めて単位を取得していなかった分野を勉強しました。化学が好きな人、実験を楽しみたい人、大歓迎です。

(2)測定を主体とした実験系の研究室であること
 生物物理化学と言っても、その分野範囲は広範ですが、
巨視的手法(熱力学特性・界面物性)や微視的手法(X線・NMRなど)に基づいて測定を行う実験系と、数式によって現象を記述したり、コンピュータシミュレーションを行ったりする理論系に大別できます。私達の研究室は、前者の実験系の研究室になります。様々な測定装置を用いて生体分子の物性を観測し、得られた実験データを解析することで、その構造や機能を明らかにしています。特に、他の研究室ができない測定(高圧力測定や微小熱量測定など)を高い精度で行うことが当研究室のオリジナリティになっています。また、研究室内には物質合成室があり、脂質や界面活性剤の有機合成もしています。タンパク質・遺伝子組み換え実験などに関しては、基本行っておりませんが、それらを用いた実験などは他の研究室との共同研究にて実施しています。

(3)生物工学科創設時よりの研究室であること
 1988年に当研究室の先代の教授である金品昌志先生により、ここ徳島大学工学部に生物工学科が設立された後、2007年に私に代替わりはしましたが、30年余りの長きに渡り、生体膜を主軸に据えた研究が継続されている伝統ある研究室(通称:A1研究室)です。その後、2016年に生物資源産業学部応用生命コース(
通称:C1研究室)に改組となり、現在に至っています。その間に学部卒業生約300名、博士前期課程修了生約90名、博士後期課程修了生9名の多くの学生諸君が卒業・修了しています。現在、彼らは、沢山の企業や公的機関などにおいて幅広く活躍をしています。研究室で学んだこれら多くの同窓生の方々とは、現在でも金品先生の関連行事などで連絡を取り合っています。また、時折、研究室にも訪ねて来てくれます。学部3年生の皆さん、これから私達と共に研究室を創り上げていきましょう。